古くからある機械式時計
機械式時計が出現したのは、13世紀のロンドンといわれています。この時期にロンドンにある2つの寺院で、塔時計が設置されたとされています。ただし、その後の火事や塔の建て替えなどがあったことから現物は残されていません。ちなみに、現存する最も古い機械式時計は、14世紀中ごろにパドヴァの大聖堂に設置された天文時計といわれています。
16世紀に入るとゼンマイが発明され、持ち運び可能な携帯式の時計が作られました。これは非常に画期的なことであり、貴族たちの間で話題になったほどです。現存する携帯式の機械式時計は、16世紀前半にニュルンベルクで作られたものです。サイズは直径が約5cmといわれ、その当時としては非常にコンパクトな時計でありました。この当時はまだ分単位までの精度はなかったため、分針のない時計でした。
精度がどんどん進化しました
やがて16世紀前半には振り子式時計が誕生し、これによって機械式時計の精度が飛躍的に向上したといわれています。さらに16世紀中ごろになると、振り子と同じような精度を保ちながら、振動に強く携帯もできる調速機のテンプが発明されました。脱進機ではより精度の高いシリンダー式が開発されたのです。この頃の機械式時計は5分に1秒の誤差が出る程度の精度でした。
17世紀になるとマリンクロノメーターが開発され、振動や湿度や温度変化に影響を受けないことから、大洋を自由に航海できるようになったのです。18世紀には現代の機械式時計につながるレバー脱進機が開発されていきます。また、この頃のスイスでは、いち早く懐中時計生産の分業体制が確立されました。時は流れて20世紀前半にはクオーツ式時計が開発され、精度が著しく向上し時計の主流となっていくのです。